第326回
コーヒーの肝臓ガン予防は誤報?
先日、厚生労働省の研究チームが、
コーヒーを多く飲む人ほど
肝臓ガンを発症しにくいとの調査結果を発表し、
巷で大きな話題になっています。
その10年間に及ぶ疫学調査によると、
コーヒーをほとんど飲まない人の
肝臓ガンの発病率が
人口10万人当たり547.2人であるのに対して、
毎日コーヒーを飲む人では
214.6人と半分以下に減少するという話です。
厚生労働省の研究チームは、
「コーヒーに含まれている
何か抗酸化作用のある物質が
肝臓ガンの抑制効果をもたらしているのではないか」
というふうに指摘していますが、
中医学的な解釈の仕方をしてみますと、
「苦い味の食べ物は
身体にとって不快なものであるため、
それを体外に出そうとして
人体の排泄反応が高まり、
そのため、他の不要な物質も一緒に排泄され、
肝臓自体の負担が軽くなり、免疫力がアップする」
というようなことが言えると思います。
しかし同時に、苦い味の食べ物は
フキノトウやセンブリなどのように取りすぎると
逆に、他の臓器では発ガン物質になることもあります。
また最近、いろいろな疫学的調査によって、
食品摂取と疾病の間の
相関関係が示されることが少なくありませんが、
それも本当に因果関係があるかというと
そう簡単には言い切れません。
例えば、何年か前に行われた
アルコールと乳ガンの疫学調査の場合でも、
「30才代の毎日2杯以上の飲酒者で
乳ガンのリスクが高まるという調査結果が得られ、
飲酒による血中エストロゲンの上昇が
乳ガンを引き起こす原因ではないかと疑われましたが、
飲酒習慣のある女性はキャリアウーマンに多く、
積極的に健康診断を受けるため、
早期の乳ガンが前倒しで発見され、
結果的に発病数を押し上げたのではないか」
といった意見も多数、提出されています。
今回の疫学調査の場合でも
うがった見方をすれば、
緑茶には肝臓ガンの抑制効果の
相関関係は見出せなかったという話ですから、
「実はコーヒーではなく、
コーヒーに入れる砂糖やブライトなどに効果があった」
という可能性も否定することは出来ません。
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