虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第269回
「ウーロン茶伝説」

中国の人たちはウーロン茶を飲んでいるから
体形がスマートなのだ、という噂が
以前から日本では強く信じられておりますが、
中国人すべてがウーロン茶を
飲んでいるというわけではありません。

北京の人たちは一般に
ジャスミン茶を愛飲していますし、
他の地方に行けばプアール茶や
その他のお茶を日常的に飲んでいます。
おそらく比べてみれば、
ウーロン茶を飲んでいる人たちよりも、
それ以外のお茶を飲んでいる
人たちのほうがよほど数が多いと思います。

もし、飲みものについてだけ限定して
考えればよいのなら、
中国の人たちがスマートなのは
ウーロン茶を飲んでいることよりも
むしろ、ジュースやドリンク、缶コーヒーなど、
糖分が入った飲みものをあまり取らない
生活習慣のほうに
大きな原因があるのではないでしょうか。

仮にどうしても、ウーロン茶に
スマートさの原因を追い求めるというのなら、
まず初めに頭に思い浮かぶのは
ウーロン茶を入れる水についてのことです。
中国と日本では、水質に
硬水と軟水という違いがありますが、
硬水に比べて軟水のほうが味もよく、
成分なども溶け出しやすくて
お茶を煎じる時も少量の葉で済みます。

日本でウーロン茶を飲む場合、
ほとんどの方は
日本の水を使って煮出していますが、
中国の水を使ってみたらどうなのでしょうか?
ここ何年もウーロン茶ばかり飲んで
痩せることを目指している知人がいますが、
体重は一向に減少しておりません。
ひょっとしたら、彼が痩せないのは
日本の水を使ってウーロン茶を
飲んでいるからなのかも知れません。

※日本と中国では、同じ漢方薬の処方でも
  使われる生薬の量には二倍近い差があります。
  人種的にも近く、それほど体格的にも変わらない
  日本人と中国人との間で、
  これほどまでに大きな差が出るのは
  現在、主に煎じる水が原因と見られています。


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