第262回
「血管内部からの告発」
西洋医学は病気を
どのように定義するかから始まっていますが、
東洋医学では健康の状態を
どう捉えるかが出発点となっています。
例えば、中医学では
人間が健康かそうでないかを見る場合、
於血という血液の流れが滞って
うっ血した状態がないかどうかを探します。
現代医学でもこのところ、
動脈や静脈の太い血管だけでなく、
微小循環と呼ばれる
毛細血管の血液の流れが
注目されてきていますが、
これらの血管は身体中の組織に
栄養分と酸素を供給しているだけでなく、
老廃物と炭酸ガスを回収する働きも担っています。
つまり、極端なことを言えば、
毛細血管の血液の流れの良し悪しで
すべての組織の健康状態は決まるのです。
例えば、動脈硬化の進行に関しても、
今まではコレステロールばかり悪い
というふうに思われてきていました。
しかし、微小循環の観点からすれば、
血管に栄養を補給している
毛細血管の血流不良によって
生じた血管内部の劣化の方が
より根本的な原因と考えられるわけです。
ちょうど道路の状態で言えば、
整備不足で路面がデコボコになって
ゴミが溜まり出してきたようなものです。
つまり、今までは
動脈硬化が進行していた部分に
コレステロールが溜まっていたため、
一方的にコレステロールが
動脈硬化の犯人扱いされていた可能性が
極めて高いということが言えます。
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