第260回
「於血は、百病の源」
ホメオスターシス(恒常性)の働きで、
血液中の成分や濃度は
ある一定の状態に保たれています。
よく、新聞や雑誌の広告などで、
血液が酸性やアルカリ性に変わるなどの
おかしな表現を見かけることがありますが、
血液は常に弱アルカリ性(PH7.4)を保ちながら
静脈や動脈の中を粛々と流れています。
また最近、「血液サラサラ」とか
「血液ドロドロ」などといった話題を
いろいろなところでよく耳にしますが、
静脈や動脈のような太い血管の中を
血液が油のように
ドロドロと流れていたりすることは
まずありません。
採血してみれば分かることですが、
誰の血液でもトマトジュースを
水でうすめたような適度な粘性を持って
割り合いにサラサラとした形状をしています。
現在、血液サラサラ・ドロドロは、
赤血球や白血球が変形しなければ通れない、
毛細血管のような非常に細い部分を
血液がどれだけスムーズに流れるかを
特殊な機械で判定しているようですが、
このことは中医学的な観点からみても
身体全体の健康状態を計る
大きな指標になるものと思われます。
なぜなら、中医学には
「於血は、百病の源」という考え方があり、
それは毛細血管の血流障害が
すべての病気の原因になる可能性がある
ということを意味しているからです。
今のところ健康診断で計れるのは、
赤血球や白血球、血小板、コレステロール、
中性脂肪などの種類や数値だけですが、
血液を総合的に判断するという意味で
毛細血管の血流を測定する時期が
いずれそのうちにやって来ることでしょう。
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