第259回
“悪玉の中の悪玉”
現代医学での病気の診断法は
ここ20年ばかりで
驚くべき進歩を遂げましたが、
健康を評価する方法については
相も変わらず、体重が多い少ない、
血圧やコレステロールが高いとか低い
などといった次元のレベルで
進歩が止まってしまい、
今や袋小路の状態です。
例を挙げれば、ほんの少し前までは
コレステロールが多いと
心筋梗塞や脳梗塞になりやすいため、
長生きできないと言われていましたが、
最近では、コレステロールの値が
低いよりも少し高い方が
長生きするという報告が相次ぎ、
コレステロールを下げることばかりに
全力を注いでいた行政や医療業界は、
どの方向を目指せばよいのか分からなくなって
バタバタと迷走しています。
また、もう少し話を続ければ、
コレステロールの悪玉と善玉の区別も
だんだんとほころびを見せ始めております。
以前は、悪玉コレステロールは
少ないほど身体によいと
単純に考えられていましたが、
この頃は悪玉コレステロールも
身体にとってやはり相当に必要な物質で、
「本当の悪玉は、活性酸素に
酸化された悪玉コレステロール」というふうに、
話がいつの間にか微妙に変化してきています。
まあ、結局のところ、
コレステロールの数値で
健康の度合いを計るのには、
少々無理があったということでしょう。
※2〜3年ぐらい前までは
コレステロール値が200もあれば、
コレステロールを下げる薬剤を
どこの病院でも
バンバンと患者さんに出していましたが、
現在ではよほどのことがない限り
そういう薬の出し方はほとんどされておりません。
むしろ、コレステロールを下げすぎると
細胞膜が脆弱化して
ガンになりやすくなるという話さえあり、
混迷の度合いはさらに深みを増しつつあります。
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