虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第150回
トイレで紙をたくさん使う人は?

胃腸が弱った状態が長く続いたり、
果物・生野菜などの生ものや
アイスクリーム・ビール・ジュースなどの
冷たいものの取り過ぎによって
脾の陽気が衰えると、
食欲不振や疲れやすいなどの症状のほかに、
お腹がシクシク痛む・水様性の下痢・
手足が冷たい・浮腫・排尿困難・
帯下(こしけ オリモノのこと)などの症状が
だんだんと現れてくるようになってきます。

しかし、こうした症状は
腹部の血行不良が主な原因ですから、
お腹の痛みでも
手で擦って温めてやるだけで
痛みがスッーと楽になるという特徴があります。
また、下痢や帯下も量は多いのですが、
透明でニオイもほとんどない
寒症特有の状態を示していますから、
お腹の冷えが改善されれば
症状のほうも自然によくなります。

中医学では
これらの状態は「脾陽虚」といい、
食事に気をつけたり
十分に養生してやれば、
まだ簡単に健康を回復できる段階です。
しかし、大便が泥のように
便器にこびりついて流れにくくなったり、
排便した後にトイレットペーパーが
たくさん必要になってきたら、
それは湿邪までからんできた証拠ですから、
そう簡単には状態はよくなってはくれません。
そのうちに、頭が重い・口が粘る・身体が重い・
お腹が痞(つか)えるなどの症状が出現してきます。

もし、こういう段階の症状になってしまったら、
お腹の中を温める働きのある
朝鮮人参や乾姜(かんきょう 乾燥したショウガ)、
お腹の中の水はけをよくする
白朮(びゃくじゅつ)などの生薬が配合された
人参湯のような漢方薬をしばらく服用して
身体を正常な状態に戻してやらなければいけません。


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