虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第141回
アミノ酸ブームの落とし穴?

食べ物を消化吸収して
身体全体に分配するという脾の働きは、
私たちの身体の筋肉を作るうえでも
決して欠かすことの出来ない重要な作用の1つです。
ですから、脾の働きが弱まると、
食欲不振・消化不良・下痢などのほかに、
力が出ない・手足が痩せてくる・
便意が頻繁に起きる・胃下垂・脱肛・
流産などの筋肉の弱りに関連した症状が
いろいろと出てくる場合があります。

特に、これらの症状は、
お産の後や下痢や病気などが続いて
精神的または肉体的な疲労が
溜まった状態で起こることが多く、
中医学では
脾の気力の衰えで
内臓を引っ張っている筋肉が
弱ってしまったことが原因とされています。

また、なぜ脾気が衰えると
筋肉が弱ってしまうのかといいますと、
筋肉はタンパク質から出来ているからです。
胃腸の消化吸収の働きが悪ければ、
体内で良質のタンパク質を作ることは出来ません。
ですから、例えば筋無力症や
慢性疲労症候群などの現代医学の難病も、
中医学では、脾を丈夫にすれば
症状がよくなる可能性があると考えられています。

※この頃、テレビや雑誌などでは
  アミノ酸が大きなブームになっているようですが、
  通常の食生活をしていれば
  アミノ酸が不足することはまずありません。

  何故なら、私たち人間は、
  肉・玉子・牛乳・豆腐・米などに含まれる
  タンパク質を消化吸収分解して、
  身体に必要なアミノ酸を
  いろいろと合成することができるからです。

  逆に、特定のアミノ酸ばかり
  高濃度に配合されているサプリメントを
  取り続けていると、
  アミノ酸全体のバランスを崩してしまい
  身体を悪くしてしまう恐れが多分にあります。


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