第843回
真夏の、美しい男のために
開襟シャツを着たことがありますか。
英語でいえば“オープン・カラー・シャツ”。
というよりもオープン・カラーを直訳して、
「開襟」という言葉が作られたのではないでしょうか。
開襟シャツの特徴は襟腰がないことです。
最初からネクタイを締めることを考えていない襟。
だから、たいていは襟を開けておけるわけです。
もっともよく見れば、
小さなボタンと小さなループが付いていて、
一応襟元までしっかり留めることは
できるようになっているのですが。
むかしの男の夏姿といえば、
たいてい制服のように
この開襟シャツを着たものです。
そうでない場合には、白麻スーツを着た。
少し極端な言い方をすれば、
白麻のスーツか開襟シャツ、
そのどちらかだったのです。
ところで開襟シャツを現代に置き換えれば、
何に相当するでしょうか。
私はポロ・シャツではないかと思います。
昭和初期の開襟シャツは、
今のポロ・シャツである。―
こう考えて、
それほど大きな間違いではないと思います。
もし、より快適でありたいのなら、
ポロ・シャツで良いのではないでしょうか。
もしもオフィスで着ようというのなら、
純白の、清潔なポロ・シャツ。
開襟シャツよりはるかに合理的でしょう。
いざという時には
ネクタイだって締められるのですから。
純白のポロ・シャツに、
ダークな色調のサマー・ウールのパンツを穿き、
黒い靴を合わせる。
もちろんベルトも黒。
ということはポロ・シャツの裾は
パンツの中に入れておくわけです。
ポロシャツの下に
Tシャツなどの肌着を重ねる必要はないでしょう。
同じような純白のポロ・シャツを何枚か用意しておいて、
汗をかいたり汚れたりしたなら、
着替えれば良いのです。
ポロ・シャツでは
あまりに相手に対して失礼ではないか。
もしそうお考えなら、自分自身の態度、
ものごし、言葉づかいなどで、
それを充分補うように努めるべきでしょう。
そして結局はこうして美しい男が生まれるのです。
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