服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第746回
分りやすく 伝わりやすく

本欄「男はカッコ」が1冊の本になったのは、
ご存じですか。
『男のお洒落』(海竜社刊 1,300円)です。
私が新たに書き加えたのは
「はじめに」と「おわりに」との文章だけで、
あとはすべて海竜社編集部の古川さんに
お任せしたものであります。

ところがこの本が、売れたのです。
昨年12月7日に初版が出て、
12月24日に2刷を出して頂くことができたのです。
私の長い人生でもはじめての経験でしょう。
有難いことです。
だいたい私の本はクソ真面目なところがあって、
固くて、古くさい文章であることが多く、
あまり売れないのです。
ただし『完本ブルー・ジーンズ』(新潮社 1,600円)は
珍しく好評で、今、4刷にかかっています。

邱先生をはじめ、多くの先輩から
「もう少し易しく、分るように書きなさい」
と永年教えられてきました。
でも、持ったがヤマイで、
これがなかなか治らないのです。
どうしても構えた文章になってしまう。
ところが「男はカッコ」はある意味では
日記にも似たところがあって、
構える必要がなかったのでしょう。
それが結果として、
読みやすい文章になったのだと思います。

『男のお洒落』がざっと2週間ほどで2刷になったのは、
私にとってのご褒美のようなものです。
皆様からほめて頂いた。
これで本当に、いかに読みやすい文章が大切であるか、
骨身にしみて分りました。
おそらく、これからは機会あるごとに、
分りやすい、伝わりやすい文章を心掛けるでしょう。

人を動かす原理もここにあると思います。
たとえばわが子を教える時、
叱るだけでは成功しない。
ほめることでこそ成功する。
なぜなら、人は誰でも叱られた時より、
ほめられた時のほうが、想いが伝わるからです。
タイミングをとらえて、具体的に、明快にほめる。
と、その子は必ず次の機会にも
同じようにしようと決心するに違いありません。
この原理はなにも子供だけでなく、
大人にも立派に通用することは、
私自身でも証明されている通りです。


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