服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第697回
雨の日にこそ明るい色を

雨の日にはどんな服を着ますか。
なかには雨の日用の服はコレと決めている人もいます。
私は行き当りばったり、とくに決ってはいません。
ただ、靴はワーク・ブーツを履くことが多い。
雨に強く、滑りにくいから。
ややハードな感じですが、
私には可愛いレイン・シューズなのです。

それはともかく私は
雨の日には、大胆で、
強い色を着る傾向があります。
ちょっと派手かなあ、と思う
色柄のシャツやネクタイは、
雨の日にこそ最適だと、勝手に思い込んでいます。
ワイン・カラー、ゴールデン・イエロー、
バイオレット、ピンク・・・。
ひとつには明るくて大胆な色は、
着る人の心を楽しくさせる効果があるからです。
その意味では雨の日に限らず、
憂うつな時こそ、大胆な色彩を選ぶべきです。
ふつう“ビビッド・カラー”と呼ばれる色を。
一例をあげれば、
“イレクトリック・ブルー”や
“ショッキング・ピンク”などがそれです。

けれども、雨の日にビビッド・カラーを身につけるには、
もうひとつの理由があります。
それは微妙に、空気の影響を受けるからです。
明るい太陽の下で見る赤と、
雨の日の赤とではごくわずか、違って映る。
極端な話、晴天には抵抗があった色も、
曇天ではそれほど気にならないことがあります。
もっと細かいことを考えるなら、
空気に含まれる湿度によっても、
若干の違いを生じることがあるものです。

よく経験するのは、
海外の店でいいなあ、
と思って買ったスポーツ・シャツを、
日本に帰ってから着てみると、
なぜか違和感がある。
これもかなりの部分、
空気のせいであることが多いのです。

そこで結論。
雨の日にはビビッド・カラーを着よう。
「おや、意外に大丈夫だ」と思うはず。
で、一度、そんなふうに色に馴れてしまえば、
自然に愛着が湧いてきて、
構える心が消えてしまう。
その結果、かなりのビビッド・カラーでも
必ずあなたの親友になってくれるのです。


←前回記事へ 2004年10月28日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ