第696回
ワッチ・キャップに注目!
正ちゃん帽を知っていますか。
もちろん「しょうちゃんぼう」と読みます。
もしかすればこれも古語になりつつあるのでしょうか。
スキー帽に似た、毛糸で編んだ帽子のことです。
むかし「正ちゃんの冒険」という漫画があって、
この主人公がいつもこの帽子を被っていたところからの、
名前なのだそうです。
作者は、樺島勝一で、大正12年頃のことですから、
知らない人がいても不思議ではありません。
正ちゃん帽に似た帽子に
ワッチ・キャップがあります。
同じように毛糸で編んだ帽子ですが、
クラウン頂上の房がほとんど無いのが特徴です。
けれども頭にぴったりとフィットした
ニット・キャップであることには変りがありません。
でも、どうして“ワッチ・キャップ”
watch cap なのか。
直訳すれば「見張り帽」ということになるでしょうか。
時計のウォッチと同じ発音ですから、
「ウォッチ・キャップ」でも良いと思うのですが。
なぜかこの場合は
“ワッチ・キャップ”と呼ぶことが多い。
たぶんアメリカ海軍からの影響なのでしょう。
海軍の水兵が甲板で見張りに立つ時、
防寒のためにこの帽子を被った。
雨風にも強い帽子だからです。
本当に寒い時には耳が痛いほど冷たくなる。
そんな時にワッチ・キャップの折返し部分を下に下げて、
耳を覆うことができたのです。
スーツでドレス・アップした場合は別として、
ワッチ・キャップは
たいていの着こなしに合わせることができます。
色はネイビー・ブルーをはじめとして、
黒やグレイなどの
ベイシック・カラーをおすすめします。
被りやすくて、温かく、
脱いだときにも邪魔にならない。
畳んでおいてもシワにもならない。
一度試してみる価値ありでしょう。
ただしひとつだけ注意すべきは、
ウールをはじめとする
天然繊維のニットを選ぶこと。
頭に被った時、天然繊維なら
ぴったりとフィットしてくれて、
滑るようなことがないからです。
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