第635回
スマートなVIPへの接し方
VIPと第二次大戦の関係、知っていますか。
ヴェリィ・インポータント・パースン、
略してVIPですね。
実際には1930年代からすでに使われていたようです。
が、40年代の大戦中に重宝された。
たとえばマウントバッテン卿などの人物を輸送する場合、
敵にはもちろん味方にも伏せておきたい。
けれども丁重に扱わなければならない。
そこで輸送関係者に単に
“VIP”とだけに告げるようにしたというのです。
今では「VVIP」
(とってもとっても重要人物)という言葉があるそうですから、
そのうちに「VVVIP」という言い方さえ
あらわれるかも知れません。
それはともかく、
もしもVIPをお招きするようになったら、
いったいどうすれば良いか。
私などはドギマギして、
何をどうして良いか分らなくなってしまうでしょう。
ことにホーム・パーティーにお呼びするような場合、
ほとんどお手あげです。
そのVIPの食事の好みが分っている場合、
絶対に大好物を出すな、という教えがあります。
G・A・ダリオーの書いた
『もてなしの事典』に出ています。
むかし人気絶頂のC・チャップリンが英国を訪問した。
その時の会見で、
田舎風プディングが大好きだと答えたという。
すると招かれた先々で、
必ず同じようなプディングを出されて、
最後は食べることさえできず、
大嫌いになったそうです。
これもまた昔の話ですが、
ジョンソン元大統領のホーム・パーティー。
ジョンソンはお世話になった州の長を招いた。
この時、ハンバーガーでもてなして
大好評だったそうです。
少なくともVIPだから、
シャンパンにキャビア、フォアグラ・・・
という月並な高級品は避けるべきでしょう。
それよりも素朴で、
懐かしい味のほうが
家庭的で良いのではないでしょうか。
そしてVIPへ接し方も、
失礼にならないことを前提で、
むしろさり気なく、気取らず、
緊張しない接し方のほうが、
よりスマートというものです。
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