第594回
ベイシック・Tシャツ再考
ただ単に「Tシャツ」と言ったなら、
何を想像しますか。
私の場合、純白の、真新しいTシャツなのです。
素材はもちろんコットン100%のジャージー。
どうしてわざわざこんな話を持ち出すのか。
なぜなら「Tシャツ」と言って、
カラフルなプリント柄のTシャツを
思い浮べる人が少なくない、
と考えたからです。
Tシャツそれ自体を単独で、
遊び着にするなら、
これはもう好みの問題でしょう。
でもさまざまな着こなしに使う
小道具として考えた場合、
白無地のTシャツは
想像以上に活躍の場が広いのです。
プリント・Tシャツと区別する点で、
“ベイシック・Tシャツ”と呼ぶべきかも知れません。
それはともかく、
もう一度“ベイシック・Tシャツ”を考えてみたいのです。
このTシャツを上手に使いこなせるか否かは、
大人の着こなしを
大きく左右する大切なことなのですから。
Tシャツはもともと
第一次大戦中の米軍で採用された下着。
つまり本来はとても
男っぽい出発点を持っているのです。
ついでながら“Tシャツ”を
はじめて小説のなかで使った作家は
フィッツジェラルド。
1920年の処女作『楽園のこちら側』がそれです。
フィッツジェラルドは参戦経験がありますから、
身近な存在であったのでしょう。
ベイシック・Tシャツで
もっとも大切なことは、素材の良さ。
ふつう“ジャージー(プレイン・ニット)”
“リブ・ニット”
“インターロック・ニット”の3種があります。
が、大半はジャージー(平編み)で、
それも薄手が多い。
でも、しっかり厚手に編上げたものほど良質なのです。
指先で触って厚手のTシャツほど良い。
これは単に質の問題だけではなく、
大人の体型をうまく包むにも
そのほうが向いているわけです。
また、適度にフィットしたサイズを選ぶことも大切。
そのためには自分の好みに合ったメーカーや
ブランドを決めておくことです。
つまり自分のひいきのTシャツを持つことが、
上手な着こなしの第一歩なのです。
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