服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第581回
白麻のパンツはクラシックに穿こう

白麻のパンツを穿いたことがありますか。
むかし男の夏服といえば
白麻と決まっていたものです。
ただしそれは三つ揃い背広で、
パンツだけというものではありませんでしたが。
ところで白麻の服はなぜ消えてしまったのか。
第一の理由は、シワになりやすく、汚れやすいから。
でも、白麻のパンツに限定すれば、
家庭洗濯可能です。
ホワイト・ジーンズやコットン・パンツと同じように、
洗っては穿き、穿いては洗うつもりになれば良いのです。
残る問題は、シワ。
最近ではシワになりにくい麻も登場しています。
でも私はあのシワの表情こそ
麻の生命(いのち)であり、
魅力だと思うのです。
合成繊維はもちろん、他の天然繊維でも
麻のようなシワは望めないのですから。
よく見ると麻ならではのシワは美しいのです。
つまり洗いざらしのジーンズが美しいように、
白麻のシワもまた美しいのです。

白麻のパンツはクラシックに穿く。
ごく単純に言えば、
全体にゆったりと、股上を深くして穿く。
これはジーンズの穿き方とほぼ正反対になります。
白麻のパンツには
ダークな色調のシャツを組合わせましょう。
たとえば濃紺のスポーツ・シャツ、
黒のボロ・シャツといった具合にです。
少なくとも白無地のシャツを合わせるのは、
上級生だけに許される
高等テクニックと考えるべきでしょう。

では、靴はどうするか。
理想を言えば、白いキャンバス地のシューズ。
むかしはそんな靴があったのです。
白いチョークを粉にしたような液体を塗って、
毎日毎日手入れをした。
今は、オクスフォード・タイプ(紐結び式)のスニーカーが
次善のものでしょう。
これに黒無地のソックスを合わせるのが、
白麻のパンツにはふさわしい。

さて、問題はベルト。
なぜなら男の白いベルトで
上品なものがなかなか見つからないからです。
私としては生成り色(染めてない色)の
革ベルトをおすすめします。
ここでもまたむかし話をすれば、
一時期、透明プラスチックの悪趣味なベルトが
流行したことがあります。


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