服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第366回
秘密ネクタイ術そっと教えます

ネクタイ選びで迷ったことがありますか。
朝起きて習慣としてシャツを着、
ネクタイを結ぼうとする。
この時ふっと、これでいいのかなあ、と思いませんか。
ネクタイ選びが格段に上達する
秘密の方法をお話しましょう。

よく「ネクタイが似合ってるなあ」
と言うことがあります。
また、実際に口に出さなくても、
心のなかでそう思うことはあるでしょう。
では、ネクタイが似合うとは
いったい何でしょう。
もちろんいくつかの要素が
複雑にからみ合って生じている現象だと思います。
でも、そのなかでももっとも大切な、
基本的なことを言いましょう。

実はトーン(色調)が一番重要なきめ手なのです。
もっと分りやすく言えば、色の濃度。
色あいより、柄より、ブランドより、
まず最初に色の濃度が大切なのです。
大きく分けて、3つの濃度があります。
淡色(ライト・トーン)、中色(ミディアム・トーン)、
濃職(ダーク・トーン)。
つまり「淡」「中」「濃」です。

そして言うまでもなくスーツにも大別して
「淡」「中」「濃」があるでしょう。
一般に「淡」と「淡」、「中」と「中」、
「濃」と「濃」とを合わせるのは、たいへん難しい。
というよりもおしゃれ効果が
この上なく薄くなります。

具体的な一例としてブルーのスーツを考えてみましょう。
ライト・ブルーのスーツに
「淡」のネクタイを締めてはいけないのです。
逆に「中」なら良、「濃」なら最良となります。

逆にダーク・スーツであれば、
もうお分りのように
「濃」のネクタイは注意深く避けることです。
色や柄がどうであれ、
必ず「中」や「淡」のネクタイを合わせる。
たったこれだけのことを気をつけるだけで、
「ネクタイが似合ってるなあ」と思わせる効果大でしょう。
トーンの重要性に較べれば、
色や柄は二の次、三の次です。
この濃度のテクニックを心得た上で、
色や柄へと進めば、
さらにネクタイ効果が高まること言うまでもありません。


←前回記事へ

2003年10月3日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ