服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第246回
贅沢しょうゆの物語

豆腐はお好きですか。
まあ、豆腐が嫌という人は少ないでしょう。
私も大好きです。
豆腐を使った料理ならなんでも喜んで頂きます。
でも、これからの季節はなんといっても冷奴。
どこかで好みの豆腐を見つけたなら、
毎日冷奴でもいいくらいです。

口当りが良くて、旨くて、
その上栄養価も高い。
まさに言うことなし。
しかも手間ひまかからないところもよろしい。
乱暴な私なんかどうかすると、
豆腐一丁そのまま皿に盛って、
しゅうゆをかけただけで食べたりする。
あとはもう木か竹のスプーンと
少しの酒があれば文句なし。

冷奴の薬味にもなかなかうるいさい方も
いらっしゃるようですが、
私はごく単純に豆腐としょうゆだけで食べるのが好きです。
どころが最近、私にとっての理想のしょうゆを見つけたので、
嬉しくて嬉しくて。

それは「角長」(かどちょう)のしょうゆ。
和歌山、湯浅町の角長醤油が作っているしょうゆなのです。
たしかに色を見ると濃いのですが、
塩分はそれほど強くありません。
でもフタを開けただけで独特の豊かな香りがあり、
味はこまやかで、深い。
「今まで使っていたしょうゆはいったい何だろう」
と思わせるほどの、魅力を持っています。

もちろん東京でも購入可能ですし、
それほど高価な代物でもありません。
たとえばスーパーマーケットの「紀ノ国屋」でも置いています。
しょうゆの原料は大豆と小麦で、
この割合によって味が微妙に変化するのだそうです。
「角長」のしょうゆはやや大豆の割合が多く、
そのために色が濃く、味わいも深いのに、
塩分は控え目に仕上るとのことです。

天保6年(1835年)の創業と言いますから、古いですね。
古いから必ずしも良い、というわけではありませんが、
紀州、湯浅町こそしょうゆ発祥の地なのです。
中国から伝えられた金山寺みその上ずみが、
ある時たいへんに良い香と味になっていることに気づいたのが
はじまりだと考えられているのです。


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2003年5月27日(火)

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