服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第243回
感謝の心からはじまること

今回は、日ごろご愛読下さっている
読者のIさんから
第238回 夏帽子の小さな秘密
への感想メールをいただきましたので、
そのお返事を掲載させていただきます。

ご丁寧にお便りを頂きありがとうございます。
また日頃のご愛読についても
重ねて御礼申上げます。

あらためて考えてみると本当に不思議な感じがします。
私が夏帽子を被っていた。
その帽子に目をとめて声をかけてくれた人がいた。
それを私がお話として書いた。
それをIさんが読んでくれ、
しかもお手紙まで書いてくれた。――
会ったことも、話したこともないけれど、
100年の大親友のような気持にさえなってきます。

実はあの帽子には後日談があるのです。
東急ハンズの売場で声をかけられた。
トラヤ帽子店を教えてあげました。
どんなふうに形をつければ良いかも教えてあげました。
まあ、そんなこともあったので、
念のためにトラヤ帽子店に電話をしておきました。

「きのう、渋谷でこんなことがありましたヨ。
もし、その方が行ったなら、よろしくお願いしますね」と。
一応、話は終ったのですが、
トラヤの店長さんも「男はカッコ」を
読んでくれてるというではありませんか。
驚きました。
まったく世の中狭いものですね。
またまた、うれしくなってしまったのです。

不思議、驚き、うれしい。・・・
でも、それだけのことでしょうか。
いや、そうではありません。

人は誰でも生きている以上、
電波に似たものを持っています。
今、仮に「人間電波」としておきましょうか。
人間電波にもプラスとマイナスがあります。
分りやすく言えば肯定電波と否定電波です。

私が肯定電波を発信すれば
必ずそれを受けてくれる人がいる。
逆にそれが否定電波を送れば、
当然、拒否されるでしょう。
この人間電波はあらゆる壁を越えて、
距離をこえて、瞬時に伝わるのです。

では、どうすれば肯定電波を発信できるのか。
それは感謝の心です。
声をかけてくれてありがとう。
お便りをくれて、ありがとう。
そのような気持にさせてくれたIさんに感謝。


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2003年5月24日(土)

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