服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第177回
イージー・オーダーとの上手なつき合い方

イージー・オーダーで
ボタンダウンの襟型を作ったことがありますか。
もちろん最終的には好みの問題ですが、
私自身はイージー・オーダーで
ボタンダウン・カラーを作るのは難しいと考えています。
フレッシュマンのビジネス・ウェアに、
果してボタンダウンのワイシャツが
ふさわしいかどうかは別として、
ボタンダウンに限っては
それを専門とする既製のシャツのほうをおすすめします。

つまり、イージー・オーダーでは
けっしてボタンダウンの襟型をつくるな、
というのが私の考えなのです。
妙な言い方ですが、
どうしてもきれいに、上手に出来すぎてしまうのです。
ボタンダウン本来の味わいは、
スポーティーでカジュアルなところにあるのです。
シワになる一歩手前の「クシャッ」とした感じが
生命(いのち)なのですが、
イージー・オーダーでは(オーダー・メイドでも)
なかなか表現できないからです。

さて、シャツの着心地を直接左右するのは、
実は「ゆるみ」なのです。
実寸の胸まわりに、
どのくらいの「ゆるみ」(ゆとり)を加えるのか。
このフィット具合には個人差があり、
それによって着心地の良し悪しが決定されるのです。

通常は実寸に対して、10数センチのゆとりを加えます。
これが12センチになると、ややフィットした感じになります。
プラス8センチでさえ、「ピタピタ」という感じになります。
6センチというのはちょっとやりすぎでしょう。

この「ゆるみ」についても、
今までの自分のシャツを参考にすることをおすすめします。
同じようにシャツの着丈にも注意するべきです。
短い着丈が好きなのか、長い着丈が好きなのか。
ふだんはあまり感じないことですが、
「ゆるみ」に次いで、シャツの着丈もまた、
全体の着心地を大きく左右する要素なのです。
以上の点に気をつけるようにすれば、
イージー・オーダーでもかなりの満足が得られるでしょう。


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2003年3月19日(水)

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