服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第175回
賢いイージー・オーダーとのつき合い方

イージー・オーダーは得だと思いますか、
それとも損だと思いますか。
これはちょっと難しい。
それぞれの人によって結論が違ってくるでしょう。

ただ、ひとつだけ言えるのは、
最初の一着から完全に満足することは少ない。
逆に言えば、ちょっと工夫することで
二着目からはイージー・オーダーならではの
「得」をすることがあります。

まず店によってやはり得手不得手があります。
たとえばアメリカン・スタイルが得意なところもあれば、
ブリティッシュ・スタイルが得意な店もある。
つまり自分の好みのスタイルを作るには、
どこの店が良いかを探すこと。これが出発点です。
各店のカタログや店頭サンプルなどで推理して下さい。

次に店員(採寸者)との対応があります。
一着目を作ったなら、
二着目は必ずその最初の店員に接客してもらうこと。
当然、最初に作ったスーツを着てゆくべきです。
そして一着目のスーツを見本として、
「ここをもう少し長く」といったふうに具体的に注文する。
このような会話のなかから、
店員のほうでも客の好みを少しずつ
理解してくれるようになります。

もし店員が理解力に欠けていたなら、困りますが。
ひとつの目安として、店員の服装を見て下さい。
かなりおしゃれな店員だな、
と思った店員に接客してもらうようにすれば、
おそらく理解も早くなるでしょう。
いずれにしても最初の一着は捨石だと考えるくらいの
心の余裕を持つべきです。
だからはじめの一着は安い生地でも充分だと思います。

イージー・オーダーでもかなり細かい注文も可能なのです。
たとえばハンド・ステッチ風のステッチも出来ます。
本開き(袖口のボタンが実際に開閉できるもの)や
チェンジ・ポケット(脇ポケットの上の小さなポケット)も
OKです。ただし別料金が必要になりますが。
このように少しずつ自分の好みの一着を
作っていけば良いのです。


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2003年3月17日(月)

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