服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第115回
ツイードの替上着を仕立ててみよう

スポーツ・ジャケットを仕立ててもらったことがありますか。
スーツを注文するのと同じように
替上着を作ってもらうことももちろん可能です。
替上着はスーツよりもデザインの選択が自由なので、
よりいっそう面白いのではないでしょうか。

もし替上着を新調する場合には、
スリーピース・スーツにすることをおすすめします。
ツイードの、同じ生地で、
替上着、チョッキ、ズボンの三点を仕立ててもらうのです。
つまりツイードの三つ揃い。
同じ生地であればそれほど大きく値段が
変わるわけでもありません。

ただしスリーピース・スーツを仕立てたからといって、
そのままの組合わせで着るわけではありません。
あくまでもツイードの替上着として着る。
もちろん時と場合によっては
共地のオッド・ヴェスト(替チョッキ)を
下に重ねても良いでしょう。

たとえばコーデュロイ(コール天)の替上着の下に、
ツイードのパンツを組合わせるのは粋なものです。
つまりツイード・スーツを一組作っておけば、
あとは知恵と工夫でさまざまなコーディネイションが
楽しめるわけです。

さらに一歩進めてこんな方法もあります。
色を揃え、柄を違えて、二組のスリーピース・スーツを作る。
たとえばヘリンボーン(杉綾模様)とミックス調の無地との。
そしてこの二組のスリーピース・スーツを巧みに組合わせれば、
実に数多くのコーディネイトが可能になってくるでしょう。
実際になにをどう組合わせるか否かが問題なのではなくて、
スポーツ・ジャケットを着る醍醐味は、
頭を上手に使って大いに楽しむところにある、
と気づくことにあります。

これはちょっと余談ですが、
ツイードの替上着を作った時には、鳥打帽を頼みましょう。
少しのあまり布があったら、
エイト・ピース(八つ裂「はぎ」)の
ハンチング・キャップが作れるのです。
これまたカントリーの気分なのです。


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2003年1月16日(木)

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