服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第114回
品質の良いスーツを上手に選ぶには

今回は、小原啓貴さんからいただきましたご質問
「品質の良いスーツを上手に選ぶにはどうすれば良いか。」
にお答えいたします。

品質の良いスーツを上手に選ぶにはどうすれば良いか。
これはなかなか難しい質問です。
というよりもある程度
授業料を払う必要があるかも知れません。
少なくとも私はこれまでかなりの授業料
払ってきました。

さて、良いスーツは
まず例外なく良い素材(生地)が使われています。
仮にAとBがあったとして、
もしAのほうが良い生地なら、
Aのほうが良いスーツだと考えることができます。
あまり良くない生地をわざわざ工費の高い縫製工場で
縫うケースは少ないからです。

では良い生地か否かはどうやって区別するか。
指先で触って。
プロ中のプロになると、ただ生地を触るだけで、
その値段を言い当てるほどです。
もちろん最初はまったく見当もつきませんが、
とにかくAとB、BとC、触り較べているうちに、
少しづつ良し悪しが分るようになってきます。
ごく単純に言うと、
よりしなやかなに感じる生地のほうが上等なのです。

分る分らないは別として、
スーツを見分けようとする時、
指先で軽く触る習慣をつけるのは良いことです。
ただし白や淡い色は汚れるので触らないこと。

また背広には必ず品質表示がついていますから、
これを判断基準にするのもひとつの方法。
一般的には混紡ものよりはウール100%のほうが
良いと見るべきです。

スーツはただ表面を見るだけでは分りません。
むしろ内側、裏側を丁寧に見ると、ある程度分ります。
たとえば縫代(ぬいしろ、「縫い合わせたあまりの部分」)の幅は
狭いものより広いほうが良いと考えるべきでしょう。
またその縫目のひとつひとつにムラがなく、
緻密であればあるほど、
丁寧な縫い方であることを示しています。
直線であるべき縫目が曲っているようなものは論外です。

社会人一年生の場合は、兄さんや父さん、
服装について詳しそうな先輩(男性に限る)と
一緒に行くのが懸命な方法だと思います。


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2003年1月15日(水)

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