服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第81回
一度は着てみたい燕尾服

燕尾服を着たことがありますか。
燕尾服はイヴニング・コートのことで、
私はもちろんありません。
もし私の仕事が指揮者か魔術師であったなら、
たぶん着ていただろうと思いますが。

でも、燕尾服の着こなし方は多少知っています。
皆さんも今後、宮中晩餐会に招かれないとも限りませんから、
一応勉強しておこうではありませんか。
そうそう、毎年、ウィーンで開かれるオペラ舞踊会は
全員燕尾服姿です。

まず燕尾服(イヴニング・コート)が必要になります。
注文で作らせるか、レンタルで借りるか、
ということになるでしょう。
ドレス・トラウザ―ズは必ずサスペンダーを使って穿き、
折返しはつけません。
直立した時に靴下が見えないほど、
多少ズボン丈を長めにしましょう。

さて、次にチョッキですが、カマーバンドは使いません。
必ず白の、礼装用チョッキにします。
生地は白いコットン・ピケということになっています。
シングル前もダブル前もありますが、
深いVゾーンで、必ず襟が付きます。

ドレス・シャツは例外なくウイング・カラー(立ち折れ襟)。
胸元は固く糊づけし、
ここに1個か2個の飾りボタンをあしらいます。
正式のドレス・シャツの袖口はシングル・カフで、
ここに胸ボタンを揃えたカフ・リンクスを飾るのです。

蝶ネクタイは原則として白いコットン・ピケ
(シャツの胸元と同じ)にします。
どうせあとで白手袋が必要になるのですから、
これを使ったほうが汚す必要がありません。

黒い靴下にエナメルのオペラ・パンプスを履きます。
胸ポケットには白麻のハンカチ。
もし花を襟に飾るのなら、白いカーネーションなど。

これに白手袋と黒のシルク・ハットを持ったなら
文句なしの燕尾服装の完成です。


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2002年12月13日(金)

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