| 第146回商社マンになりたかったです
 山崎豊子さんの「不毛地帯」、お読みになったことありますか?「戦争三部作」のうちの一編で、
 シベリア抑留帰りの元大本営参謀が、
 戦後商社マンとして産業界を生き抜いて行く姿を描いた作品です。
 前半は終戦直後に主人公が武装解除のためハルビンに飛び、
 そのままシベリアに抑留された体験が重厚に語られ、
 後半は商社マンとしての活躍がリアルに物語られています。
 石原は学生時代、実は商社マンになりたかったのです。他の学生同様、イメージ先行の部分が大きかったのですが、
 世界を舞台にでっかいビジネスができるのではないか、
 という期待がありました。
 幸か不幸か、商社への入社試験には全て落ちてしまい、
 鉄鋼会社に入社しました。
 どこかででっかい仕事がしたい、
 という気持ちがまだあったのかも知れません。
 入った会社では新規事業に配属されたので、結局、
 ちまちまとしたものを扱うようになってしまいましたが・・・(笑)。
 先日、元大手商社マンの方からお便りをいただきました。非常に長かったので掲載は断念しましたが、
 要点は以下の通りでした。
 1.商社での仕事はエネルギー関連だったので国家的重要事項だった、
 2.エネルギーを産出する国は
 経済的には発展していないことが多いが、
 その場合は開発援助することによって
 互恵関係を築くことを考えた、つまり「分け合う」精神が必要、
 3.会社の命で実際に現地へ赴いたら、
 生活環境も人間関係も大変だったが、
 本当の意味で解りあうために必要なのは、
 自分の許容範囲を拡げることと寛容さだと気づいた。
 4.その、許容範囲と寛容さだが、結局、裸でぶつかり合うこと、
 体験することによって本能的に身につくものである。
 その意味では、語学はそれを補うものではあっても
 それ以上のものではない。
 商社に就職することはできませんでしたが、世界中のユーザーさんに使っていただいている
 センサーで商売できていることは、大変幸せに感じています。
 でっかい仕事もしたいですが、
 一つ一つ積み重ねていくことが大事だとの教えを胸に刻んでいます。
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