第142回
普遍的な価値観の経営とは
黒人、ヒスパニック、中国系、インド系、イスラム系・・・。
「人種のるつぼ」と言われるアメリカですから、
本当にいろいろな人々がいますねぇ。
これらの人々を結び付けているもの、
それは表面的には言語、ということになりますね。
外見、食べるもの、着るもの、考え方、
何から何まで共通点が見出せない人たちを引っ張っていくもの、
それは何でしょうか?
ビジネススクールに通っていたとき、
「サイエンス(科学)の経営」、「アートの経営」、
という言葉を習いました。
マクドナルドの経営と、モスバーガーの経営という、
わかりやすい対比で解説されていました。
マクドナルドは、言わずとしれた科学的な経営、
食材の調達・管理から調理方法、接客の仕方まで、
事細かにマニュアルで決められています。
理論上は、世界中どこのマックに行っても
同じ味のハンバーガーがさっと出てくる、ハズです。
一方のモスバーガーですが、
創業者の故櫻田慧氏が掲げた、
「MOUNTAIN(山のように気高く堂々と)、
OCEAN(海のように深く広い心で)、
SUN(太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って)、」
という理念(と人柄)に共感した店主さんたちが
フランチャイズを形作っていました。
櫻田氏が亡くなった後、紆余曲折はあったようですが、
幸い共通の価値観を失うことなく、
厳しい外食業界の競争を戦っているようです。
「こんなフワフワとした価値観だけでは多国籍、
あるいは多人種企業がまとまるはずがないじゃないか」
と思いますよね。では、こんなルールはいかがですか?
「ルール1:どんな場面でもあなたの優れた見識を用いなさい。
それ以外のルールはありません」
これは「ノーと言わない」で有名なアメリカの百貨店、
ノードストロームの社員マニュアルです
(といってもこれではマニュアルになりませんね)。
会社がうまくまとまらないとメゲて
つい人種の違いに逃げ口上を見つけたくなりますが、
そんなことはない、いや、そんなことはないはずだ、
と自分を叱咤したくなる唄い文句です。
痺れますね。
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