石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第117回
買う方も、買われる方も大変です

ライブドア〜フジテレビ騒動をきっかけとして、
日本における今年の各社株主総会では、
敵対的買収防止策が話題になっていたようですね。
アメリカではもう慣れっこで、対抗策もいろいろあります。
ポイズン・ピル:既存株主へ新株予約権付与
=「あなた、近づくとアタシ毒を飲んで死ぬわよ!」、
クラウンジュエル:買収対象事業の第三者への売却=
「あなたの欲しがってたモノは、
もう他のヒトにあげてしまったわ!」、
ホワイトナイト:友好的買収先選択
=「王子様、あのワルモノからどうか守って、
かわりにアタシをア・ゲ・ル!」
といったものです。
かっこ内の注釈が非常に俗っぽくで恐縮ですが、
要するにイヤな相手をかわすための捨て身の方策と考えてください。
いずれにしろ元々の株主の利益はリスクに晒されます。

これら防衛策に対してよく聞かれる意見が、
「買収されるような業績に低迷させた経営陣が悪いのに、
自己保身策であり株主の利益を損なうものだ」
というものです。
たしかに、買収対象になりやすい会社は一般に、
株価の時価総額(=一株の今現在の値段×株式の数)が、
純資産(もしたった今会社を畳んだとしたら最後の残る財産)に
限りなく近いか下回っている会社と言われています。
処分するなら今のうちよ、
といえる状態になっているわけですね。

一方で、過酷な市場競争を乗り切るために
同業他社を飲み込もうとして、
結果「高い買い物」になってしまう可能性もあります。
例えば、米国ビジネスソフト大手のオラクルによる
ピープルソフト買収劇では、一年半に渡る泥試合の末、
買収を仕掛けられた2003年6月当時の株価が15ドルだったのが、
2004年12月の最終的な譲渡合意株価は26.5ドルになっていました。
実に1.77倍ということになりますから、
あらゆる防衛策を尽くして最終的に敗れた経営陣には気の毒ですが、
ピープルソフトの株主にとっては
悪くないディール(取引)だったかも知れません。
ただし、オラクルに取って良い買い物だったかどうかは、
これからの同社の業績次第、ということになります。
何はともあれ、わが社も、
敵対的であれ友好的であれ、
買収の対象にされるほど魅力のある会社に早くなりたいものです。


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2005年7月19日(火)

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