石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第111回
台湾発のデザインは好きですか?

スタン・シー(施振榮)という台湾人を知っていますか?
では、Acer(エイサー)ブランドのパソコンは?

施氏はそのエイサー社の創始者ですが、
電子業界では、「スマイル・カーブ」という言葉の提唱者としても
よく知られています。
パソコン業界は大まかに言って
三つの事業者によって構成されていますが、
川上にはインテルやマイクロソフトといった
パソコンの心臓部を司る「キーデバイス」を供給する会社、
真ん中には部品を組み立ててパソコンに仕立てるOEMメーカー、
川下にはパソコンの流通を司るブランド会社が位置しています。
横軸にこれらの事業者、縦軸に利益率をとると、
利益率は川上と川下で高くなり、
組み立て業者の利益が低くなることから、
利益率のカーブがスマイルマークの口のようになる、
というものです。

エイサー自体は1976年の創立で、
パソコンの黎明期である80年代初めから
自作パソコンを発売していたようですが、
類似品出荷や著作権侵害でアップルやIBMから訴えられ、
相当の「お勉強代」を支払ったようです。
要するに、今の中国と同じように
モノマネから入ったということですね。
その後、IBM等のOEMを手がけるようになりました。
スマイルカーブで言う底(ボトム)の分野ですね。

しかし、施氏は自前ブランドのパソコンを育てる夢を捨てきれず、
OEMと並行して進めていたのですが、
考えてみればこれはお客様と競合してしまいますね。
それではと、
2001年にOEM部門をWistronという別会社にして切り離してしまい、
“Acer”ブランドで勝負する舵取をしました。

当時は、生産量規模で急成長する他のOEMメーカーに遅れをとり、
「台湾ブランドねぇ・・・」
とその行方を危ぶむ声も多かったのですが、
ヨーロッパ市場での成功もあり、
現在ノートPCブランドランキングでは
世界で5番目に位置しています。
現在、社長には成功の立役者であるイタリア人が就任しており、
「フェラーリ」とのコラボレーションモデルも展開しています。
ブランド構築・デザイン重視で川下展開を図っている一例として
ご紹介しました。


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2005年7月11日(月)

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