石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第75回
キレイならもっとお客が入ります

あなたなら、もし店が汚くても出てきた料理が旨ければ許せますか?

日本でも高島屋を中心に支店を展開している
鼎泰豊(ディンタイフォン)は、
台湾への旅行パッケージには
必ず組み込まれていると言っていいほど
日本人に大変人気のある小籠包の名店です。
週末には大勢の台湾人の家族連れやカップルも来店し、
大変な活況を呈しています。
私のかみさんも大のお気に入りで
最低月に一度は食べていると思います。
なんでそんなに好きなのか聞いたら、
「美味しいし、(トイレも含めて)キレイだし、
値段もそれほど高くないから」ということでした。

我が家では専ら本店のある永康街ではなく、
そごうもある忠孝東路からちょっと入った
支店の方へ行っているのですが、
小籠包の店としては大きなフロアにテーブルがところ狭しと並び、
食事時には一杯に入った客の喧騒と湯気のなかで、
客席数の割りには多いと感じられる
小姐(女性店員)たちがキビキビと動きまわっています。

この店が台湾の他の店と決定的に違うと思う点、
それは「清潔さ」を最重視していると思われる点です。
実際、鼎泰豊よりうまい小籠包を出す店は
いくらもであると思いますが、
トイレ専属の従業員がいて四六時中洗面所を磨いているような店には
滅多にお目にかかったことがありません。

私がこれに感心しているのは、
台湾では、自分の家はいざ知らず、仕事場や公の場を
キレイにしようという発想が希薄だと思っているからです。
私は、自分の会社、特に工場で働いている人たちには、
身の回りをキレイにすること、専門用語では5S(ごえす)、
これしか言いません。
これは、そのことを徹底することが如何に難しいかの裏返しです。
しかしながら、鼎泰豊に来てみると、
「台湾だから店が汚くてもしょうがない」
というのは言い訳に過ぎないことがわかります。
お客様が何を評価しているかを見極め、
働く人たちをそこに注力させて行くのが経営者の価値です。


←前回記事へ

2005年5月20日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ