石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第41回
エレベータなしアパートの5階でいい?

もしあなたが、儲からない海外子会社への駐在を命じられたら
棲家はどのようにして決めますか?
2000年春、台湾への赴任を決意した私は、
アパートを探していました。

台北市内の北側、
温泉や花見で有名な陽明山(ヤンミンシャン)の麓近くで、
日本人学校やアメリカンスクールがある
天母(ティエンムー)という地区に
外国人が多く居住していることがわかりました。
会社のある中和市には通勤に1時間ほど取られてしまいますが、
私には当時小学校2年生の長男と
2番目の子が家内のお腹のなかにおりましたので、
家族の生活を優先することにし、
斡旋会社の案内で候補物件を何件か見て回ることにしました。

台北市は盆地なので周囲を囲う山がどこからでも望めますが、
天母は特に山が近く、オグラ技研が長野県にあったこともあり、
景観には親近感がもてました。
ところが、候補物件の家賃を見たとたん、
そんな穏やかな気分は吹っ飛んでしまいました。

家族4人が暮らせる3LDK(30坪程度)の広さで
学校から徒歩10分以内の物件は、
毎月の家賃が6万元(日本円約20万円)以上、
新築の物件になると8万元(同約27万円)は下らないというのです。
日本人学校の場合、スクールバスが限られていて
子どもを持つ家庭は学校付近に住まざるを得ない、
という大家側売り手市場を反映した家賃相場となっていました。

台湾小倉への私の派遣にあたり、
オグラ技研人事部は
「家賃は台湾小倉が負担」という規程を作りましたが、
会社経営が火の車の状態で
そんなに重い負担をかけるわけにいきません。
5万元(日本円約17万円)以下の物件を何軒も回った結果、
何とかそれなりに満足できるアパートを探し当てました。
ただ、部屋は5階なのにエレベータがなく、
しかも日本人学校がある中心街から
だらだら坂を上りきったところにありました。
家族が満足して使えるか疑問はありましたが、
低予算候補のなかでは内装が一番に思えたので、
そこに決めてしまったのでした。


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2005年4月4日(月)

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