| 第14回契約の相手方が台湾で生産、販売していたワケ
 センサーテック台湾支社は、新竹科学工業園区に工場を持ち、台北市内に営業オフィスを構えていました。
 新竹科学工業園区は、ハイテク企業の誘致およびその育成を目的に台湾行政府が1980年に着工したもので、
 中正国際空港から車で約1時間ほど南下した
 新竹市内の約600ヘクタールの敷地に、
 二つの国立大学と工業技術研究院が設立され、
 これらの研究機関を中心に六大産業
 (半導体、コンピューター・部品、情報・通信、
 オプトエレクトロニクス、精密機械、バイオテクノロジー)の
 関連企業約300社が進出していました。
 1990年代における台湾のハイテク産業発展は、このような政府の思い切った産業政策に負うところも大きく、
 パソコンの心臓部にあたるマザーボード、
 パソコン本体の組み立てだけでなく、
 カスタムICのファウンドリ(製造だけを専門に行う会社)や、
 ファブレスメーカー(設計だけを専門に行う会社)といった、
 特定の技術分野に特化した請負型のビジネスで
 世界の大勢を占めていました。
 その中でも新竹は、TSMC、UMCという
 2大ファウンドリメーカーを中心に
 大小のIC設計専門会社が集積し、急速な成長を遂げていました。
 ノートパソコン業界においても、Quanta(廣達電腦)やCompal(仁寶電腦)といった
 台湾OEMメーカーが急速にシェアを伸ばし、
 当時の世界全体のノートパソコン生産のうち、
 半分以上を抑えていました。
 パソコンの表には、
 “DELL”や”Compaq”といったロゴがついていますが、
 裏面には、”Made in Taiwan” と刻印されているわけです。
 従って、パソコンに搭載される部品はそれらの多くが台湾OEMメーカーに納入されており、
 センサーテック社は、部品製造のための工場、
 それからOEMメーカーに営業活動する拠点を
 台湾に設けていたのでした。
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