第142回
マレーシアの株式市場
マレーシアの株式市場には895社が上場しています。
(2003年11月17日現在:KLSE公表)
この国には、豊富な天然資源があります。
また、プランテーションの企業が多く上場しており、
長期の成長に関しては楽しみです。
公的部門の債務は少なく貿易収支や失業率等も問題はありません。
しかし、昨今はIT不況の波を被りやすくなっています。
貿易のIT(情報技術)依存度が高いのです。
外国人が投資をする場合には下記の3点が気になるところです。
1.マレー人優遇策(ブミプトラ政策)
2.外資規制を実施した歴史
3.人件費などの優位性の消失
ブミプトラ(Bumiputra)という言葉はご存知でしょうか。
「Son of soil」(土地の子)を現すこの言葉は
ここ30年続いてきたマレー人優遇政策を現します。
1969年の総選挙では、
選挙結果をめぐってマレー人と華人の人種間暴動が発生し
200人近い死者が出ました。
この翌年、
落選していたマハティール氏は事件を踏まえて
「マレー・ジレンマ」を発表し
多数派マレー人が経済的に取り残されている実態を訴えて
制度的優遇の必要性を説きました。
これが「ブミプトラ政策」の原点になりました。
華人が新たに会社を立ち上げようとしても
従業員の3割はマレー系でなければなりません。
会社が新たに株式を上場しようとしても
株主の3割以上はマレー系でなければなりません。
もし3割いかなければ株価を割引してでも、
割り当てなければならないのです。
現在マレー系の人は上場企業の19%しか資本を所有していません。
外資への規制はアジア危機の時に行われました。
短期的な資金移動には税金をかけるというものでした。
これが、その後の国際投資家の不信感を買っているのは
間違いのないことでしょう。
人件費では、近隣諸国には勝てず
白物家電などの工場は他国へ移転していきました。
自由競争と弱者救済のバランスを取りながら
発展するという微妙な舵取りが求められています。
|