第136回
急成長企業の奇襲増資
タイの成長企業は今、資金重要が旺盛です。
既存の株主から資金を調達したい場合は有償増資が行われます。
急に行われるのが普通で、投資家は困惑してしまいます。
なぜならば、
引き受ける価格がその時の株価より著しく低い場合、
増資を受ける権利確定の日を境に
株価はすとーんと下がってしまうからです。
増資に応じれば、ほぼとんとんとなる場合が多いのですが
新たな資金を払い込まなければなりません。
2003年10月15日にTISCO証券を訪ねた時、
インターネット部門のスィアサイジャイ・マネージャーは
以下のように語っていました。
「極めて短期間に増資の発表、締め切りがあり
これはタイの株式取引の問題点かと思います。
もし、増資に応じないで一度売って対処するのであれば
毎日ニュースをチェックせねばなりません。」
これは「奇襲増資」「無理やり増資」といった気がします。
サイアム・フューチャー・デヴェロップメント(SF)は
2003年10月10日に有償増資を発表しました。
これは既存株主の持株1株について新たに1.5株を1バーツで
発行するというものです。
有償増資に応じるかどうかは自由ですが
株価は15バーツ程度していましたので
応じなければ株価が下がって損をします。
ほとんどの株主が増資に応じるでしょうから、
理論上の株価は
(15+1.5×1)÷2.5=6.6バーツになってしまうのです。
このような場合は増資に応じるか、
権利落ちの前に売却するかを検討する必要があります。
しかし、権利確定日は10月20日で、
株式受渡日の関係で10月15日にはもう権利落ちしてしまいました。
判断する期間は数日間しかありません。
大切な情報は証券会社からメールが入ることも多いのですが
正確に情報を知ろうと思えば毎日証券取引所のホームページで
ニュースをチェックしなければなりません。
株式を保有していることを忘れてしまうぐらい
長期に投資をしたいと思っても
忘れていては困ることもあるのです。
※2003年夏より、
新株引受権のみを短期間上場して売買が出来るTSR制度
(Transferable Subscription Rights:売買可能新株引受権)が
登場していますが、旧来の有償増資も行われています。
※日本国内の証券会社経由では国内の証券取引法の関係で
有償増資の払い込みは出来ません。
払い込み権利を売却し顧客に売却益を分配するという方法が
よく取られています。
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