第134回
この配当の差はなぜ?
日本では十数年続いた株価の下落と
一部の企業の業績が向上したことにより
少し株価に対する配当の利回りが上がっています。
また、企業も配当性向を上げる動きがあります。
配当性向=税引き後利益から配当に回す割合
持ち合いをしていた機関投資家が株を手放す中で
個人投資家に魅力のない企業であれば株価は下げます。
外資が株式を集めて経営に入ってこないとも限りませんから
日本の企業も考えなければならない局面になりました。
それでも
2003年現在の配当利回りを見ると
多くても3%とか4%の企業が多いのです。
5%以上が多く見られるアジア諸国の中では見劣りします。
成熟した企業は設備投資を多く必要としないのですが、
多くの企業の配当性向は数割しかありません。
ですから、ROA(総資産利益率)がほんの数%になってしまい
他国では見かける10%以上など夢のまた夢となってしまいます。
日本の企業は多くの場合
配当性向20%といったところです。
配当性向40〜60%の他国とは比べられません。
昔は利回りが良かったのが
1960年代を中心に法人の株式持合いが進むことにより、
個人投資家を軽視する経営が可能になりました。
その影響下の低配当と見ることができます。
考えてみれば
会社が積み上がったお金を配当せずに
土地や株式、外国の債券などに
投資をするなんて話のほうがおかしく思えます。
一般の企業に
不動産投機や投資信託の代わりを
やってもらいたい投資家は少ないのではないでしょうか。
ひるがえって、アジア諸国を見ると
工場が足りなくなれば増資をして資金調達し、
不要な不動産が出れば処分して、
株価の半分くらいにあたる金額をポンと配当する場合もあります。
どこの国でも
今後は機関投資家も含め投資家が企業を選別していくでしょう。
実質は外国企業というような企業も増えるでしょうし、
残念ながら投資家から見放されて
市場から退場する企業も出るでしょう。
配当方針の明示は大切なことのように思えます。
|