今まさに芽吹こうとするアジア株を
アジア株研究家・平田さんがレポートします

第133回
日本で起こった株価のマジック

日本では、
1940年代くらいから
少しずつグループ持合、銀行持合と言われる
株式の法人所有が進みました。

企業同士の株式持合いは
当初は安定した取引先を確保するために始まり、
法人株主は、お互いに経営には不干渉でした。
お互い様ですし、お得意先の経営に注文はつけにくいでしょう。

そして1950年代後半や60年代前半などには
さらに株式持合いは加速し
今度は
「銀行よ、さようなら、証券よ、こんにちは」
などと言われ
投資信託・生保・損保などが登場してきました。
これらの機関の投資が株式の品薄状態を作り
高い株価を作り上げていきます。

業績を上げる以外で株価を高く維持する方法は
浮動株を少なくすることです。
ですから、企業は安定株主を求めました。
法人や投信などは扱う株数が大きいので
売買するときでも直接の買い手を捜してきて
取引し値崩れを防いだのです。

投資信託・生保・損保などは
企業経営や配当金額に口を挟んでもよさそうなものですが、
保険営業などの利害が絡んで口をはさまなかったようです。
こうやって株価が高くなっていると
企業や法人投資家はどうして都合がいいのでしょうか。

ひとつは高い株価の時に時価発行で増資をすれば
安く資金調達できること。
これは日本では1968年に日本楽器が最初に行いました。
同族の大株主であれば保有株を高値で売却できます。
また、安定した業績を株主に報告したい企業では、
他社の株を長年持つことにより含み益が出来て
赤字が出た年には
持株を操作して利益を計上できたこともあります。

しかし
こうしたマジックが効かなくなれば、株価は逆回転を始めます。
浮動株は増え、時価発行増資は自社株買いに変わり、
保有する他社株の含み損に苦しまなければなりません。
アジアの各国でどのように株価が形成され、
株式保有者が変わっていくかを予測するのは興味深いことです。
今、中国やタイなどは投資信託や生保が増えていくところです。



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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