第92回
国際投資家テンプルトン氏に学ぶ
1962年に日本企業に注目した投資家で、
ジョン・テンプルトン氏がおられます。
当時は米国の株価と比べると
日本の企業の株価は信じられないほど安かったのです。
株価収益率(PER)で見ると米国の数分の一、
株価純資産倍率(PBR)は格安でした。
(その計算をするにはインフレが進む中で
膨大な含み資産が眠っていることに気づく必要がありました)
※株価収益率=(株価÷1株あたりの1年間の利益)
株価純資産倍率=(株価÷1株あたりの純資産)
含み資産=帳簿上には現れない資産
当時の日本の投資家は短期の利益予測を重んじ、
また知名度の高い会社を評価していました。
テンプルトン氏が投資を開始した後も
数年は安いままでしたが、
やがて上昇を開始しました。
1970〜89年代の経過は皆さんがご存知の通りです。
彼は大規模なファンド(投資信託)は動かしませんでした。
その為、大型で人によく知られた企業には
関心を持たなくてよかったのです。
「最良の割安な企業は、
人々からまったく無視されている企業で
自分以外の投資家たちが
調べてみようとすら思わない企業の中にあるものだ」と
いう考えのもとで行動し成果を上げました。
例えばイトーヨーカ堂について言えば、
株価収益率が10倍程度で
年率30%も成長している時代に投資を行っています。
多くの米国人投資家は「国内で充分利益が出る」と
考えていたようですが人と同じ行動をとっていては、
人と同じリターンしか手に入りません。
彼の考え方を資産運用に生かすことはできるはずです。
個人投資家は
テンプルトン氏ほどには調べることはできないでしょうか。
彼は企業のデータは利用しましたが、
全ての企業に直接の取材が必要と
考えたわけではありませんでした。
とすれば、インターネットが使える現在、
今の私たちの置かれている状況はテンプルトン氏よりも有利です。
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