今まさに芽吹こうとするアジア株を
アジア株研究家・平田さんがレポートします

第85回
アジア調査徒然話:変化への対応

バンコックのある証券会社を訪ね、
インターネット取引の担当者と昼食をとったときの話です。
証券会社の受付で彼女を待っていると、
ある男性に声をかけられました。
サトーン通りの証券会社から移って来たとのことです。
一流会社だったのに未練もなく辞めたのでしょうか。

この日の昼食の相手も、
この2年間で3社も会社を移っているはずです。
どういうきっかけで転職するのか話題になりました。
「たいていは先方の会社から打診がある。
インターネット部門を動かせる人はまだ少ないから」
と答えてくれますが、転職(転社)の度に給料は上がっています。

ジョブホッピングを繰り返すのは、
背景に即戦力を求める企業のニーズがあります。
また、日本の高度成長期のような
終身雇用・年功序列制は多くの企業ではないようです。
学歴は、アジア諸国でもやはり大切なようで、
上場企業の取締役は欧米で博士の学位を取っている人が多いです。
また実力を伴っていなければ、出世も難しくなっています。
アジアはコネ社会と言われ、
実際にタイの一流企業の募集100人に対して
コネ400人集まるのですから、コネ同士の実力競争です。

東南アジアのみならず
米国も労働市場の流動性は高く、
いったん経済構造が時代に合わなくなると
大胆に動きますから回復も早いようです。
対して、日本・ドイツなどは
経済活動への規制が多く、
労働市場が社会主義化していますので流動性には欠けます。
不況が長引くのはいたしかたないことのようです。

細かく整備された社会制度は時に変化への対応力が劣ります。
市場経済の自動調節機能が働かない場合、
タイミングを外すと問題は蓄積され、
バースト(破裂)に近い解決を見ることもあります。
アジア危機前夜に
IMF(国際通貨基金)がバーツの切り下げを
隠密裏にタイに勧告しましたが
問題が大きくなりすぎていて実施できませんでした。
これと同じような、大きな禍根を残す出来事が
歴史上たびたび起こっています。



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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