第68回
出版事業の特徴
東南アジアではちゃんとした
書籍は生活費と比しては高いというイメージがあります。
これは、紙代以外に印刷部数と関係があるのでしょう。
数千部でベストセラーとかいう噂もある国です。
それでも、日経新聞(2003年5月3日)によると
最近は文学がブームで3月までに
「リング」(鈴木光司氏著)が7万部、
「キッチン」(吉本ばなな氏著)が2万部売れたとのこと。
ドラえもんが寝起きする「押入れ」は
タイの住宅には存在しませんが、
タイ人には有名で、日本の小説がはやる下地はコミックに
あるようです。
出版事業は、民度の向上とともに発展し、
他社や外国資本に簡単に真似されにくい業種ではないかと
思います。
編集者ごと引き抜かれれば、経営が難しくなるという
可能性はありますが、
現在のタイの出版事業では全国展開するには
物流・販売までひとくくりで捉えねばならず、
他社の参入は容易ではありません。
この6月にアマリン・プリンティングの印刷部のかたと
お話したところ最近日本に研修に行かれたそうで、
この国の出版文化を担う意気込みを語っておられました。
先進国では活字離れが起こっていますが、
これから発展する国では離れようにも
まだ、そんなに活字に親しんでいいません。
1940年での識字率は30%、1960年で68%、1991年で93%、
そして1998年の調査で97.7%と推移しています。
タイの株式市場では「印刷・出版」関連の会社が8社ほど
あります。
◎「Amarin Printing and Publishing」(APRINT)は
書籍・雑誌などいろいろな出版物を手がけています。
◎「SE−Education」(SE-ED)は教育書や学術書を扱い
パソコン関連の書籍も扱っています。
この両社を中心に出版事業と書店の出店競争が行われています。
売上高は年々増え、
PERは13倍前後です。
(8月7日現在 経済日刊紙ビジネスディより)
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