第43回
アナリストがいない
人が少ない東南アジアの株式市場では面白いこともあります。
タイでは株式の売買手数料は
2001年に一旦完全自由化となりましたが、
今度は過当競争で証券会社の利益が確保できず、
翌年の1月にはまた下限が設けられました。
現在はインターネット取引では手数料は0.20-0.25%
最低50バーツ(約150円)が普通です。
手数料が自由化された時、証券会社の収益が落ち込みました。
どれくらい厳しいかを説明するのに
TISCO証券上席バイスプレジデントが
アナリストの削減を例にして語っていました。
「このとき、従来7、8人アナリストがいた証券会社は
3、4人に減らした。
従来3、4人だったところは1、2人になっている。」
アナリストを減らす理由は経費削減ですが、
なぜそこに矛先がいくのかというと
個人投資家はもっぱら投機的な売買を行うので、
せっかく調査して何十頁にもなるレポートを作成しても、
活用できていない状況があるからです。
公表数値はありませんので詳しくはわかりませんが、
個人の株式回転率はかなり高いのではないかと想像されます。
オーナーの株主や機関投資家など安定株主が混じる中で
全体の2002年の売買回転率は
90.4%に上っています。
アナリストは人手不足のため、
全上場全社をカバーする余裕がありません。
そのため、トップ30とか
調査の対象企業数に制限を付けざるを得ないのです。
以前、アナリストに
インターネット関連・ソフト関連などへ展開する
「LOXLEY」という企業の将来について質問をしたところ
「調べてないのでわからない」
という返事を受けたことがあります。
トップ30などから外れて、
投機的な売買からも外れたところで企業調査をすれば
思わぬ優良企業が発見できることもあります。
「会社の成長率が高いのに何故こんな安い株価が付いているのか」
「どこか大きな欠点があるはず」
と当初は見ていたのですが、
実は多くの投資家は短期売買に徹するため、
私とは投資尺度が違うという理由もありそうです。
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