第35回
証券取引委員会は強い味方です
タイで
外国人が自由に買える議決権のない株式(NVDR)制度が
発足したときの証券取引委員会の話です。
タイ政府としては
国内企業を外国人に乗っ取られるの避けたいのですが、
お金は欲しい。
そこで外国人用のフォーリン株以外に導入されたのが
NVDR(議決権のない株式預かり証)です。
これによりタイ人と同じ値段で売買できます。
この話を最初に聞いたときは「よい制度が出来たものだ」と
喜んでいましたが、
調査をするうちに難題にぶつかりました。
配当は小切手で支払われ、書留で自宅に郵送されます。
しかし株主が国外に住んでいたらどうなるでしょうか。
例えば日本の銀行に換金を頼めば
多額の手数料がかかるでしょうし、手間もかかるでしょう。
タイ語は日本人から見ればなにがなんやら想像もつかない
文字なのです。
何十年も株式を持とうという人であれば、
配当を証券会社口座にプールしてもらって
再投資をするのは良い方法です。
現金があればつい使ってしまいます。
そこで私は要望書を作成し、
タイ証券取引委員会(SEC)へ出かけました。
「タイ国が広く外国資本を求めるならば安定株主となる
世界の個人投資家の利便を考えていただきたい」と
改善をお願いしたのです。
ほどなく書留で、
「法の規制があり難しいがタイ証券取引所(SET)と
協議していきたい」旨の返答がありました。
私は今度は証券取引所へ行きました。
「タイの株式市場が
外国の個人投資家に開かれたものとなるよう改善すべきです。
配当が証券会社の口座でいただけるよう
タイの英字新聞やテレビ放送を含め
世論に訴え続ける覚悟です」と大げさに要望したのです。
かくして、外国人投資家は
証券会社への委任状を提出すれば
配当を現地証券会社の自己口座で
受け取ることが可能となりました。
タイ国内の全ての証券会社が取り扱う訳ではありませんし
有料サービスとしている証券会社もあります。
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