第24回
売買回転率の変化
たくさんの株式が売買されている国と
あまり多くの株式は売買されていない国があります。
この場合、
いろいろな国の売買回転率の一覧表をつくるだけでは
正確な分析はできません。
例えば韓国や台湾などでは
売買回転率が300%や400%に及びます。
対して日本などは過去の高いときでも90%に及びません。
これは
個人が活発に売買する市場であるか
オーナー株主や法人持合による
特定の株主が多いかの株主の分布によって違ってきます。
日本の売買回転率も
直近の数字だけ見ると
2002年の67.9%は欧米諸国と比しても低いので
最近の日本の株式が流動性に欠けるという結論を
出してしまいがちです。
実際は1992年の売買回転率の18%から
少しずつ上昇しているのです。
これは、長らく日本の株価形成を歪めていた
法人持合の構造が崩れていく過程です。
ここのところの日本株の動きは
政府の対応もかなり影響していると思われますから
間単に予測はつきかねますが、
株主構造の変化を伴いながら
セリング・クライマックス(売りの頂点)
を迎えているようにも見えます。
経年変化でアジアの市場を捉えてみますと、
フィリピン(2002年の売買回転率13.6%)などは
一般投資家や外国人が見限った市場であることが
明白にわかります。
こういう状態の株式市場に、ある時、
突然に外国人と一般投資家が参入します。
きっかけは
フィリピンの場合は政治的な変化である場合が多いのですが、
株価が2倍・3倍になり
売買回転率が30%〜40%になるというのが
従来のパターンです。
売買回転率に注目して各国の市場を見ていくと
投資家がいなくなった閑散とした取引所へも
出かけてゆきたくなるのです。
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