第21回
バフェット氏のアジアを見る目
米国はネブラスカ州のオハマから、
ウォーレン・バフェット氏は
はるか西のほうを眺めています。
が、それは日本ではなくて中国のようです。
コカ・コーラやアメリカンエキスプレス株の
大量保有で知られるバークシャーハザウエイ社の
CEO(最高経営責任者)であり、
米国の著名投資家であるバフェット氏は
2003年5月、定例株主総会後の記者会見で
日本株への投資に消極的な姿勢を鮮明にしました。
日本の金融システム不安と
事業会社の収益回復の遅れを指摘し、
株価が8000円近辺まで下がっても
株価収益率(PER)から見て
割安な株が少ないことにも言及しました。
「日本に学ぶのは異常な低金利など
主要市場であっても何が起こるのかわからないことだ」
と突き放した姿勢です。
日本企業には冷淡なかたわら、
投資先については新しい動きもしています。
従来は米国株が中心の投資スタイルだったのですが
中国で最大の石油会社であるペトロチャイナに
投資を開始しているのです。
(2003年4月22日・24日他)
現在はペトロチャイナの大株主は政府であり
1%の議決権に得たに過ぎませんが。
バフェット氏は、最近5つの海外投資を開始し、
これはそのひとつとのことです。
バフェット氏の行動が、
米国内のみに投資をしていては限界があるとか
米国の景気やドルの信任に対しての不安がある
とかの考えによるものと見るのはうがち過ぎでしょうか。
2002年の秋からの香港のH株の動きを見て、
国際投資家の動きに
変化が始まっていることは感じ取れましたが、
その動きは、これから
ますます明白になっていくのではないかと思われます。
ユーロがドルに対して強くなっている背後には、
米国での投資資金がユーロに流れていく流れがあるでしょう。
米国外の投資家のマネーも、
米国民の資金もユーロや他国へ逃げている。
そういう変化が起こっていると見ています。
バフェット氏に関してもう一言付け加えれば
彼は資金を持ちすぎています。
よって、アジアでは、さほど機敏には動けないと思われます。
●ペトロチャイナ(香港H株:コード0857)
ホームページ(http://www.petrochina.com.cn)
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