中国株・起業・人生相談・Q&A-ハイハイQさんQさんデス-邱 永漢

第1942回
マサさんからのQ(質問):植物的発想の背景

毎日楽しく読ませていただいています。
"江戸っ子は三代続かない"とか
"お江戸は諸国の吹きだまり"と昔から言うそうですが、
私は現在、東京に住んでいて、特にそう感じています。

私は、先生と同じ理由で、
今放映されているテレビ番組を見ることはなくなりましたが、
代わりに、20年〜30年程前のドラマを、
衛星放送等で時折り眺めていますと、
当時の東京は、太平洋沿岸地域との人や文化の結びつきが、
今よりもずっと強かったのではないかと思われます。
対して、昨今では、気質や文化・言葉等も含めて、
東北地方との一体化が進んでいるように思います。
先生がおっしゃる、"日本人の植物的発想"の背景には、
職を求めて上京した、かつての頃と同じ
"目指すは東京(ターミナルステーション)"
という意識が働いていて、それが、海を越えて
"東京が駄目なら上海があるさ"
という方向への転換を阻んでいるような気がします。
日本の大企業が、外人投資の前でダルマさん状態にあるのも、
あるいは一極集中に、その一因があるのではないでしょうか。

私が幼少〜少年期を過ごした、台湾や関西から、
個人や企業が直接、中国・東アジアへ飛び出していくのを見て、
そう感じるのですが、
先生は、どのようにお考えになられますでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。


■QさんからのA(答え)

日本は海に囲まれていて他との交渉はありませんでしたから、
日本独特の文化が生まれたと思います。
その文化を維持するために
日本では殿様を中心とした社会制度をずっと維持してきました。
その点、中国みたいに利己主義に徹底した国とは
自ずから違っています。
日本人は一つところに根をおろすと、
よそへ動こうとしなくなるのです。

たとえば、上海には台湾の人は
台湾の人口2300万のうち50万人います。
韓国の人は人口5000万のうち30万人です。
日本人は人口1億3000万のうちたった5万人です。
根がしっかり降りているというと立派に聞こえますけど、
本当は植物的な性格をしている人が多いということです。
国内だったらまだ何とか動きますけど、
よその国ということになると、
会社に命じられるのでなければ、行く人は先ず少ないんです。

そういう国の人が
これからの時代に上手く対応していけるかというと、
私は相当難しいよと言っているのです。
ですから足に根の生えていない人だけでも例外になって下さい。


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2007年12月25日(火)

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