| ■QさんからのA(答え)  話の特集という雑誌は創刊された頃は非常に新鮮なもので、それを主宰した矢崎泰久を私は大変才能があると考えて、
 評価したことがございます。
 頼まれたのですぐに原稿を書きましたが、
 しばらく見ていると、
 スポンサーとガタガタしているらしいので、
 それじゃあ少し手伝ってあげようか、とつい口を滑らせたのですが、
 そのあとがなかなか大変でした。
 とにかく黒字にしなければいけませんので、先ず自分のオフィスの上を家賃もタダで提供しました。
 建て直しをするといっても、
 いま日本国中で会社の建て直しをしている
 永守さんも言っていますけども、
 そんなに奇跡的な方法があるわけじゃありません。
 出て行くのを詰めて、
 入ってくるのをふやす以外に方法はないのです。
 そこで先ず売上げを増やす方法として、
 定期購読者をたくさんつくることと、
 一冊でも売れる先を見つけるために、
 話の特集と話の合いそうな人が集まる喫茶店に
 おいてもらう交渉をしました。
 常連執筆者の中には1年間の定期購読者をふやすために、
 バーのに行って何万円も飲み代を払って
 ホステスに勧誘した人もおりました。
 次に出て行くお金も毎月いくらと決めて、それを超えた分については一切支払いをしないと決めました。
 そのせいもあって
 1年余り経ったら何とか
 収支がつぐなうところまでこぎつけることができましたが
 もうこれ以上締められるのはかなわないと思ったのでしょう。
 矢崎さんの方が雑誌をもって私のところから出て行きました。
 その時は、はじめて雑誌の経営をしましたが、
 その時の経験を生かして「求美」という美術雑誌を創刊しました。
 こちらは10年持ちましたから、
 損をした経験は後で役に立っております。
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