第1164回
■とおよんさんからのQ(質問):読む本、読まない本の選択基準

邱 永漢様 いつも貴重なお話をいただきありがとうございます。
先生から多くの影響をいただきながら今日まで歩んできました。

さて、『読書』について質問します。
私は読書が好きで、目に付いた本があるとすぐに購入してしまいます。
その時に買わなければ(特に古本・絶版本)次は無い、
というような強迫観念にも似た気持ちで買い込んでしまい、
気がつけば読んでいない本が
100冊近くも積み上がるようになってしまいました。
恐らくこれからも、今読んでいる本を読み終えないうちに、
また買い込み続けてしまうかと思います。

そこではじめに戻るのですが、先生はお忙しい毎日の中で、
『読む本』『読みたいけれど読まない本』を
何か基準をもって、取捨選択していらっしゃいますか?
また、1冊の本の理解を深めようと熟読すると、
読む速度が落ちてしまいます。
必然購入する本の数のほうが読了する本を上回ってしまい、
結果的に本がたまってしまいます。
先生は私以上に書物に接してきたことと思いますが、
読書の心得のようなものはお持ちでいらっしゃいますか?

以上             とおよん 拝


■QさんからのA(答え)

本というのは読むためにあるものですけど、
積むためにもあるものでもあります。
ですから積むようになってもったいないと考えるのは
あまり読書をしない人であるという証拠です。

おそらく私はあなたの10倍も100倍も無駄金を使って、
家の中のスペースがなくなるほど本を買っていると思います。
それでも読書というのは楽しみの一つだし、
また自分の知恵の元でもあることに変わりはありません。
本読みなら誰でも「積ん読」というのをやっております。
読む積りで買った本であっても、
3ページも読んだらもう読む気がしなくなるのもあれば、
読む積りだったのについに開いても見なかったというのも
珍しくありません。

本なんて他のことに使うお金に比べたらずっと安いものです。
人生は無駄の積み重ねだとお考えいただいて、
気楽にやっていただくのが一番いいと思います。


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