第963回
■マルコじいさん
さんからのQ(質問):金融機関の腐敗・汚職

はじめまして。長期予定で香港株に投資しているものです。
いつも楽しく拝見させていただいております。
さて、本日付のThe New York Times on the Web によりますと、
最近中国本土では金融機関の腐敗・汚職が
大規模に発覚しているとのことです

同記事によりますと、こうしたスキャンダルが
今すぐ中国の経済成長を遅らせる心配はないが、
金融システムの近代化という緊急課題への取り組みに
悪影響があるのではないか、
と当局者は懸念しているとのことです。

私が思いますに、これには2つの受け取り方
(もしくはその両方)がありうるのではないでしょうか
1. 中国の急成長の歪みが金融スキャンダルの増加となって現われた
2. スキャンダル自体は増加していないが、
   当局の犯罪処理能力が成長した結果、摘発件数が増えた
先生いかがお考えでしょうか。


■QさんからのA(答え)

中国の銀行制度が遅れているということについては、
私が中国のことについて書いた初期の
「こちら北京探題」(新潮社)
という本にも書いてございます。

共産主義制度の下では
ほとんどの実権は政府が握っておりますので、
銀行そのものも官僚制度が支配している、
と考えていいと思うんです。
ですから中国で仕事をする場合には
お金を借りるのもお金を預けるのも銀行以外に無いんですけど、
その銀行で我々にはとても馴染めないようなことが
次々と起ります。

例えば今でも月給を払うためのお金を
自由に払い出せない銀行もあります。
それからよそにお金を送るのに、
1回に3万元以上送らせないために
百万を送るのに毎日3万ずつ1ヶ月かかって送る、
ということも現に起っています。
そういう所でお金を貸す場合も、
大体、国営事業が優先しますので、
不良債権が山積みになることは避けられません。
その尻拭いをいま中国政府がやっているところです。

まだそういう段階にありますから
中国の銀行からお金を借りるなんてことを
当てにする方が間違っていると言ってよいでしょう。
それでも仕事をやるつもりだったら、
それだけの覚悟が必要だし、
それが気になるようだったら、
やめといたほうがいいということです。
中国経済の進歩は銀行の改革と
ほぼ同じスピードで進行していると
お考え頂いたらよろしいんじゃないでしょうか。


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