第929回
F.NさんからのQ(質問):平常心を保つには

私は鉄鋼の商売をしているものです。
ここ数年商売がうまくいかず、いくら精を出しても儲からず、
「このままでは店を閉じて商売変えを考えたほうがよいな」
と考えておりました。
ところがいかなることか、
中国の景気加速によって図らずも日本の鉄鋼価格も上がり、
おかげで去年、バブル以降
最高の利益を出すことができました。

しかし、私は今、不安なのです。
うまくいかないときはいくら努力しても儲からず、
逆に運命のいたずらでさして努力もせずに膨大な利益が上がる。
これは商売ではなく、まるでくじ引きです。

そこで質問なのですが、
このような状況のときでも平常心を保つには
どうしたらよいのでしょうか?


■QさんからのA(答え)

鉄の商売とか材木の商売というのは、
その時の相場に大きく左右されますので、
問屋的な売買の仕事をやっていると
何年かに一ぺん良い目に合いますが、
それに見合う程度に、
もしくはその何倍もひどい目に合うことの
繰り返しになるのが普通です。

この1年中国の経済の発展によって
鉄が中国に売れるようになって、
鉄とか石油製品だとか、そういう素材が値上がりをして、
ホッとされたと思いますけど、
その反対のことは必ず起こると考えていただきたいと思います。

どうしてかと言うと、
中国はただ一方的に日本のものを買いまくるわけではなくて、
不足している間だけ買ってくれると思って下さい。
向うは鉄や石油化学の工場をいまどんどん作っております。
その工場ができるのに、2年や3年かかるので、
その間は日本の同業者も良い目に合いますが、
間もなく消えてなくなると考えた方が間違いないと思います。

ですから、お金が儲かっている時に
この次どうするかについて
手を打っておくことが大切だと思います。
国際的にまたがって
同じ商売でバランスを取る方法を考えるのか、
この際バランスのとれた別の商売に変わるのか、
2つに1つだと思います。
余裕のある時に次の手を打つのが正しいやり方です。


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