■QさんからのA(答え)
いま、一番話題になっている中国の経済問題の一つは
人民元の切り上げであります。
それはちょうど1米ドル360円だった時に、
それをはずして自由に売買される形に変わろうとした
その直前みたいな感じです。
そのあとどうなるかは日本円の辿ったコースが参考になります。
なにしろ中国では去年1年だけで
外貨が2千億ドルも貯まるということが起っています。
お金が貯まるということは、
それだけ人民元を印刷して
国内が受け取った外貨と交換で発行するということですから、
かつての日本で起ったような、
金余りの状態がもう既にはじまっていると言っていいと思います。
輸出を黒のまま維持するためには
いわゆるペッグ制といって、
ドルに釘付けにするというのが一番有利なんですけど、
それではいよいよ外貨の洪水が溢れて、
政府が抱え込んだ外貨だけで
とうとう6千億ドルになってしまいました。
それに見合うだけの人民元を発行するということになると、
ものすごい圧力なんですね。
その圧力に耐え兼ねて、
最終的には手を挙げるより他ないでしょうね。
私の見るところでは先ずはじめに、
香港ドルと同じぐらいのレートに
調整するのではないかと思います。
いま香港ドル1ドルは人民元1.06元ですけど、
5〜6%ぐらい人民元の変動幅を広げて、
両方ほぼ同じ値段にすれば、計算が楽になります。
でも、それでは収まりませんので、
2回、3回と、小幅調整を繰り返して
とりあえずは20%ぐらい切り上げるのではないでしょうか。
そうなるとドルで持っているよりは、
人民元で持っている方が有利になりますから、
そういうヘッジをするために
人民元に換えて、中国に入っていった訳のわからんお金が
説明できない分だけで600億ドルぐらいあると言われております。
ただ、少し前から香港の銀行でも
人民元を扱うようになりましたから、
香港で人民元に換えて預金することが出来るようになりました。
でも、色々と細かい制限がありまして
その金を動かすには一々許可が要るとか、
1日に何万元しか金を引き出せない、
とかいった煩わしさが付きまといます。
それに代わるやり方として考えられるのは
香港ドルもしくは米ドルで中国株を買うことです。
中国株は香港ドルと米ドルで売り出されていますので、
もし、人民元が切り上がれば
持っている会社の中身が元々人民元で計算されるものですから、
20%跳ね上がれば、株価もそれに見合った動きをします。
したがってH株やレッドチップといった株を買っておけば、
ヘッジになることが考えられます。
小泉さんが言ったのはたぶんそのことでしょう。
去年の始め頃、
人民元が切り上がるんじゃないか、という噂が立った途端に
H株やレッドチップの株が
いっせいに値上がりしたことがございます。
したがって、人民元の切り上げが実際に起こったら
そうした動きが現実になることは
充分、考えられると私は思います。
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