第845回
TakaさんからのQ(質問):ソフトランディングとは?

毎日楽しみに拝見しております。
私は25年前に上海宝山製鉄所の建設に関連して
初めて中国の地を踏みました。
その後、欧米での仕事が続き中国とは縁がありませんでしたが、
2002年に深センと上海を訪れる機会があり、
あまりの変化に声も出ないほどでした。
それ以来、中国から目が離せません。

中国の今後に関して
「中国はソフトランディングできるか?」という問題があります。
私には経済的にどうなることが
ハードないしはソフトなのかよく分かりません。
個人的にはいわゆる中国崩壊説は絶対にないと思っておりますが、
ではソフトランディングとはどういう状態を指すのでしょうか?
先生のお考えをお聞きできればと思います。


■QさんからのA(答え)

前回でも述べましたけど、
金融引き締めがどういう効果をもたらすかというのは
皆さんご覧になっていれば
当然お分かりになると思います。
金融引締めは中国で盛り上がった設備投資が
過剰投資になって
産業界全体に大きな打撃を与えないようにするために
あらかじめやっていることです。

設備投資をやった結果が
多くの企業をバタバタと倒産させることになるのが
ハードランディングでして、
そうさせないためには設備投資を押さえ込んで
なるべく倒産を少なくする方向に変えるのを
ソフトランディングと言っているのです。
いま実際に中国で起っていることは、
たとえばその土地の省長や市長から許可が出ているのに
中央政府の中止命令一本で
途中まで建てた建物がストップになっています。

企業は増設ができたらこれだけ金が儲かる
といって建設をはじめたのに、
当てがはずれて困ってます。
困ってるけども、ものがたくさん出来て売れ残って、
借金が返せなくなって倒産するよりはましだ、
と中央政府は考えているのです。

では金融引締めがいつ緩和されるかと言うと
私は来年の6月をひとつの区切りと見ています。
中国政府はWTOの加入に際して
5年以内にやると約束したことがたくさんあります。
さまざまな規制の緩和だとか、輸入税を安くするとか、
人民元を外国のお金に自由に換えさせるとか、
いろいろやらなければならないことが目白押しなんです。

そういったことをひとつずつ片付けなければなりませんので、
金融引締めもいつまでもやっているわけには行きません。
それをひとつひとつ区切りをすると
半年でできなかったことは12月という具合に
1年を2回ぐらいに区切って考えたらいいと思います。
もちろん、もっと先に延ばされることもありますが。


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