第836回
■ようすけ
さんからのQ(質問):切り上げ放置の理由

いつも拝見しておりとても勉強になります。
最近中国元の切り上げについて
いろいろなところで取り上げられていますが
一般的に米国による貿易不均衡を是正するために
米ドルに対して切り上げを要求している、
とのことですが
現ブッシュ政権が具体的に財政再建策を示していないのは
中国元の切り上げが
内々でコミットされているがために
放置されているのでしょうか?

もちろん適度な支出のカットや適度な増税はあるとおもいますが。
先生はどのように見ているでしょうか?


■QさんからのA(答え)

どこの国も難しい問題をいっぱい抱えています。
ことにアメリカは誰が大統領になっても
2つもしくは3つに及ぶ赤字を
簡単には解決できないと思うんです。

アメリカにして見れば、
これだけ中国からの輸入が増えるのは、
中国の人民元が安い立場におかれているからだ。
だから人民元の切り上げをしろ
という話になります。
過去の日本もそうでしたけども、
どこの国も金の儲かる時に、
なるべく金の儲かるチャンスを長引かせたいと思いますから、
中国も当分、安いままにしておいた方が輸出に都合がいい、
と頑張ると思うんです。

しかし、ここの所中国の輸入がバッと増えることも
現に起っておりますので、
しばらくは人民元の切り上げを要求する声が小さくなって
息をついている所です。
それをアメリカとの間で密約があると考えるよりも、
アメリカがどうにもならんと言って頭を抱えている
と考えた方が眞相に近いのではないでしょうか。

しかし、それでも中国はドルがいっぱい貯まりますので、
その圧力に耐えかねて、それを緩和するために、
先ず、たくさん貯まったドルを
なるべくまた外国へ出す努力をするでしょう。
かつて日本もそうしたことがありますけども、
人民銀行も自国の企業が外国で投資する資金を
貸すようになると思います。

最近は石油が不足する、石炭が不足する、鉄が不足する
という資源不足が続いていますから、
中国の会社がオーストラリアやカナダとか
あるいは産油国の中近東の国々に至るまで、
採掘の権利を買うだけでなく、
それこそ会社ごと買ってしまうということが
現に起っております。
でもいくら一生懸命ドル減らしをやっても、
いっぺん黒字が続くと、
それだけでは間に合わないということが必ず起るんです。

したがって、
人民元が切り上がるのは避けられないでしょうが、
その時期がはたしていつになるか、
いまの中国の姿勢から見たら
かなり先へ延ばされるという可能性もあります。
少し前に、今年の末までの間に
中国が為替の動く幅を大きくして、
香港ドルと同じ所まで持っていく可能性があると言いましたが、
いまのところ、
今年中にそれが起らない可能性の方が強いようです。
そうするとその次は来年の6月ということになります。

でもこれも日本政府が景気が底を打ったという予想と同じように、
その度に間違ってまた先へ伸ばすのと
あまり変わらないですね。


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