■QさんからのA(答え)
世の中のことは昨日の続きの今日ということで、
みんな昨日と同じ考え方で今日も同じ日が昇ると考えています。
でも、世の流れというものは、
ある所まで来ると突然方向が変わったり、勢いが変わったりします。
そういう変化をある程度余地できれば
それなりに対応することはできると思うんです。
もし、そういうことを全く考慮しないで昨日の続きのままやっていると、
商売が駄目になってしまうということが必ず起こるんですね。
例えば日本が昔に比べて金持ちになったのは
どこで始まっているかというと、
昔は50%以上の人が農業をやっていたんです。
それがいまでは専業農家は5%ぐらいのものでしょう。
そうすると農業を辞めた人はいったいどこに行ったのかというと、
工業生産をするという方向へ動いて、
そこの所で付加価値を生むチャンスがあったので
国をあげて金持ちになったんです。
そういう時にいち早く物作りに動いて工業生産に従事した人は
お金が儲かるチャンスがありました。
では今の不景気はなぜ起こったかと言うと、
みんなで同じような物を作るようになって、
作られた物の方がそれを買いたいという数より多くなったからです。
供給が過剰になれば物の値段が下がります。
値が下がると儲けになる分がなくなってしまいます。
するともっと賃金の安い所へ行って作ろうということになりますから、
工業生産を同じ所でやっていても成り立たなくなります。
私は十何年も前からそのことを言っていたんですけど、
それがいま実際に起こってしまいました。
ちゃんとそういうことを頭に入れて対策をするのと、
今日は昨日の続きと考えている人とでは対応の仕方が違うわけですから、
当然差が出てきます。
ですから、ひとことで言えば
工業化によって日本が潤った時代は終わりましたよ、ということです。
国境の壁が落ちて、
コストの安い所へ行って仕事をやるチャンスが増えた、
そういう新しい時代に入りましたということです。
最近、日本に起っている物価や株価の変化も、
そうした変化がもたらしたものだと思ったら、わかりやすいでしょうね。
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