■QさんからのA(答え)
最近、日本の株が少し高くなってきたので、
これでデフレから逃れられるんじゃないか、
景気が回復するんじゃないか、
といった論議が新聞を賑わしております。
私はデフレになったのは、工業生産が盛んになって、
物がいくらでも生産出来るようになり、
供給の方が需要より多くなったからだと思っています。
以前は、物が値下がりになっても
損をするようになるとメーカーが生産をやめてしまいました。
すると供給が不足して、商品の価格がまた元へ戻ったのですが
今はグローバル化の時代ですから、
値下がりしても、よそで作ればもっと安いものが出来ます。
このためコスト割れをしても国内の生産は回復しないで、
生産基地をコストの安い国に持って行くようになりました。
ですから、デフレはそう簡単に止まらないと思います。
では、どこで止まるかというと、ライバル会社が潰れて、
作ったものが間に合わなくなれば、そこでやっとデフレが止まります。
いまの日本はまだそうした状況下にありませんので、
デフレは止まるとは言えません。
それでも株価が戻り足になっているのは、
一つには、中国の経済が発展して
国全体が消費経済に入ってきたからです。
物が売れて、それに使う素材が足りなくなってきたんです。
例えば自動車をたくさん作ると、鉄板をたくさん使います。
自動車の鉄板は中国の製鉄会社が作ったものでは
まだ駄目なものがたくさんあります。
そうすると不足する分を新日鉄から買うとか、
住友金属から買うということになります。
おかげで鉄やらプラスチックやら、
また銅やアルミの非鉄金属に至るまで相場が上がって、
それが株価をあげる牽引車の役割を果たしているのです。
もう一つ、アメリカの景気があまりパッとしなくなったので
今までアメリカで投資に向かっていた資金が
有利な投資対象を探して動きます。
その場合に一つは中国に移りますが、
中国に対する不信感の多い投信や機関投資家は、
日本の方がいいと言って、ドッと日本に入ってきたのです。
おかげで、ここのところ円高になったり、株高が起こっているのです。
中国の経済の発展は当分このまま続くと思いますので
日本の素材産業の株価は、まだしばらく続くと見てよいでしょう。
しかし、デフレからの回復につながるものではありませんので、
今までの考え方を大きく修正する必要はないと私は見ています。
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